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学習ポイント●内部環境とは何かを説明できる.●内部環境を調節し,ホメオスタシスを維持する主な器官系を三つ挙げることができる. 人体を取り囲む周囲を外部環境といい,人体を構成する細胞を取り囲む周囲を内部環境という.体内における内部環境は,主にゾルとゲルの入り混じった間質液(組織液)であり,組織の細胞群と脈管系(血管,リンパ管)の間に位置する.健康な成人男性では,水は体重の60%を占めるが(図1.1-1),水の含有量が少ない脂肪が多く,骨格筋も比較的少ない女性では,50%程度である. 内部環境を一定に保つ作用をホメオスタシス(homeostasis.恒常性)と呼ぶ.これは静的な平へい衡こう状態ではなく,変動してやまない外部環境に対応して,内部環境をほぼ一定の状態に保つ動的な平衡状態である.生命を維持するために,絶えず細胞内で行われる生化学反応を最適の状態に保つためには,温度とpH(水素イオン指数)を一定の範囲に維持する必要がある.その中心的役割を果たすのが,神経系と内分泌系・免疫系である. 例えば,季節により外気温(外部環境)は変動するが,夏も冬も体温(核心温度=内部環境)は一定である.暑い時の発汗や寒い時のふるえは,自律神経系の働きによる. ホメオスタシスを担う間質液のpHや浸透圧,電解質濃度を一定に保つメカニズムには,神経系や内分泌系とともに,腎・泌尿器系も関与している.間質液と血けっ漿しょうはともに細胞外にあり,組成も似通っている(図1.1-2).血液検査を行うのは,細胞外液の状態を検査して,ホメオスタシスが正常に機能しているかどうかを調べるためである. 1内部環境調節機能リンク解剖生理学 9章 1ホメオスタシスと内分泌系,腎・泌尿器系ゾルとゲル原子や低分子より大きな粒子として分散媒(固相・液相・気相)に均一に分布している状態をコロイドという.コロイド粒子が液体に分散したコロイド溶液のなかで,コロイド粒子がかなり小さく,安定性の高いものをゾルという.ゲルとは,コロイド粒子が相互作用により運動性を失って凝縮し,三次元網目構造を形成・固化した状態を指す.ゲルはゾルがゼリー状に固化したもの(こんにゃく,ゼリー,豆腐など).mEq/L20018016014012010080604020HPO42-HCO3-HCO3-HPO42-SO42-タンパク質有機酸血漿非電解質(有機性)+Xタンパク質細胞内液(筋)間質液細胞外液Na+Mg2+Ca2+Mg2+Na+Na+K+K+K+Cl-Cl-図1.1-2●体液の電解質組成体液その他の体重に占める割合100脂肪15%骨その他25%血漿 5%間質液15%細胞外液20%細胞内液40%体液60%図1.1-1●体液の分布18
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