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 動脈血のpHは,7.35~7.45という極めて小さな変動しか示さない.これは尿に不要な水素イオンを排出して調節しているためであり,尿のpHは4.5~8.0と大きな範囲で変化する. 神経細胞や筋細胞が機能するために必須であり,体液のpHや浸透圧を調節する電解質濃度は一定に保たれている (表1.1-1).主な電解質であるナトリウムイオン(Na +)とカリウムイオン(K +)は,内分泌系の副腎皮質から分泌されるアルドステロンにより調節されている.アルドステロンは腎臓の遠位尿細管に作用し,Na +の再吸収を促進し,代わりにK +を排泄する. ストレス反応は,神経系と内分泌系に影響を及ぼし,自律神経系や内分泌系の変化を介して免疫系も影響を受ける.例えば,ストレスが加わると緊張する交感神経系から放出されるノルアドレナリン,視床下部-副腎皮質系から分泌されるコルチゾールはいずれも免疫系を抑制する(図1.1-3). 神経,内分泌,免疫のホメオスタシス系は,神経伝達物質,ホルモン,サイトカインという情報伝達物質による情報伝達を共有していることが明らかになった. これら三つの器官系は,心理的ストレスを含む種々のストレスに対して内部環境の恒常性を維持するために,総合的に生体調節系として機能している.腎-泌尿器系はこれらと協働して,体液の恒常性維持を担っている.大脳皮質視 床大脳辺縁系こころからだ視床下部下垂体内分泌系自律神経系外部環境免疫系体内諸臓器の恒常性体性感覚皮膚・筋肉特殊感覚視・聴・平衡・味・嗅覚図1.1-3●ホメオスタシスと神経・免疫・内分泌系の関係項 目基準値単 位温 度36.0~37.0℃浸透圧280~300mOsm/kgH2OpH7.40±0.05Na+135~149mEq/LK+3.5~5.0mEq/LCl- 96~108mEq/LCa2+4.4~5.0mEq/LHCO3-22~26mmol/LPaO280~85以上(若年者)TorrPaCO235~45Torr血糖値75~110(早朝空腹時)mg/dL表1.1-1●血清に含まれる諸要素の基準値pH英語読みならピーエイチ,以前はドイツ語読みでペーハーと呼称されていた.日本語では水素イオン指数.pH=-log[H +]なので,pHが1増えると[H +]=水素イオン濃度は1/10に減少し,pHが1減少すると[H +]は10倍に増える.イオン電荷を帯びた原子.化学式の右肩に価数を記す.ナトリウムイオン(1価の陽イオン)=Na +,塩素イオン(1価の陰イオン)=Cl -,カルシウムイオン(2価の陽イオン)=Ca2 +.191内部環境調節機能とその障害

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