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 恒常性の維持のために作用する調節機構は,主に負のフィードバック制御である.「増えたら減らす,上昇したら下降させる」,このように変化した値を元に戻すことを負のフィードバックという.「増えたらさらに増やす,上昇したらさらに上昇させる」など,変化した値をさらに変化させる場合は正のフィードバックという.正のフィードバックは,分娩時の陣痛や血液の凝固などでみられる.(1)体温調節(図1.1-4) 環境温度は皮膚,深部組織,脊髄,視床下部およびほかの脳領域に存在する温度受容器(センサー)により感知され,視床下部にある中枢温度受容器かつ体温調節中枢(視索前核)に伝えられる. 環境温度が上昇したときには,中枢からの指令により自律神経(交感神経)が作動する.皮膚血管が拡張して皮膚血流量が増し,汗腺の活動が活発になる.その結果,体温は上昇せずに元の値を保つ. 環境温度が低下したときには,皮膚血管は収縮して皮膚血流量は減少し,汗腺の活動は低下する.そして体温は低下せず,元の値を保つ.(2)体液調節(図1.1-5,図1.1-6) 夏季に気温が上昇すると,体温調節のため発汗量が増える.すると血漿中の水が減 2体液調節・体温調節とフィードバック中枢温度受容器かつ体温調節中枢(視索前核)視床末梢温度受容器情報の中継核皮膚血管核心温中枢温度受容器皮膚血管など自律性調節行動性調節皮膚温環境温(室温)末梢温度受容器体温調節中枢図1.1-4●体温調節機構20

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