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 看護師として医療の現場に第一歩を踏み出す際に,最小限知っておいてほしい基本的な知識と技術は何か. 限られた時間内で,何をどこまで学べるか. これらを再検討して本書を編集しました.留意した3点を以下に述べます.①解剖生理学などの専門基礎分野の知識を統合して,疾病の症状や徴候を理解できる. 自学自習で復習を速やかに行えるように知識を整理しました.②疾病の病態生理に基づいて,成人看護学をはじめとする専門分野の内容を理解できる. 看護の視点という極めて抽象的なものではなく,できる限り具体的に表現しました.③看護の事例を通して,具体的な看護実践の一例を理解できる. 臨地実習や臨床では,看護学的知識と医学的知識を統合して用いる必要があり,そのために解剖生理学や病態生理学を学習しました.しかし,実際の患者さんに応用する場面ではより詳しい知識も必要になります. 性・生殖機能障害では,身体面以外に,心理的側面や社会的側面からの検討も必要になります.これらはたとえ看護者だけで解決できなくても,そういう問題が存在することをチーム医療として情報を共有できれば,解決の糸口が見えてくるものです. 糖尿病を有する男性患者のED(勃起障害)は,そのような問題の一例と思われます.従来の考え方によれば,学生レベルでは難しすぎるという声があるかもしれませんが,糖尿病患者数の増加とともに,これからの看護師には必要な知識になりつつあります.事例を学ぶと,具体的な対策がわかります.各事例の最後に設問がありますが,これはぜひ看護学生の皆さんご自身で考えてみてください. 以上のような目標を達成するために,執筆は看護経験が豊富でそれぞれの専門分野での教育と研究に従事しておられる看護職と,臨床経験豊かな医師にお願いしました. 本書が看護学生の教室と病棟における学習に役立つことを期待しています.京都橘大学健康科学部教授・山梨県立大学名誉教授林正健二はじめに

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