308014122
15/16

(1)上肢の骨折●上腕骨近位端骨折● 中高年に多い骨折で,転倒して肩を打撲したり,手掌をついたりして生じる.骨粗鬆症と極めて関連が強く,高齢者にみられる代表的な骨折の一つで比較的軽微な力で受傷する.症状は痛み,腫脹,可動時痛(動かすと痛む)がある.X線検査にて診断されるが(図1-3),補助的にCTを撮影することがある.●橈とう骨こつ遠位端骨折● 小児から高齢者までの全年齢層に発生し,日常診療で遭遇する機会が多い.特に骨粗鬆症を有する高齢女性に多い.関節内骨折と関節外骨折があり,正確に診断し,早期回復を目指した治療の選択が必要である. 症状としては,可動時痛と腫脹,変形がある.コーレス骨折では,フォーク状変形という特有な変形がみられる.(2)下肢の骨折●大腿骨近位部骨折● 加齢により骨が脆ぜい弱じゃくになり,軽微な外傷(尻もちなど)によって,受傷することが多い.大腿骨近位部骨折は,骨折した部位により,股関節の関節包内で起こる頸部骨折と,関節包外で起こる転子部骨折などに分類される(図1-4).日本では年間10万人以上が受傷しており,その数は年々増加している. 症状としては,疼痛や立位歩行困難である.診断は,単純X線検査で行う.骨折線が不明瞭な場合には,MRI撮影にて診断することもある.この骨折をきっかけにして寝たきりとなってしまうことがあり,手術のリスクもあるが,できる限り早期手術を 2骨折(各論)全身状態の管理骨折患者の入院後に全身状態の評価を行う.骨折部からの出血が多く,特に,大腿骨骨折,骨盤骨折では,出血性ショックを起こすことがある.必要に応じて,術前に輸血を生じる.骨粗鬆症性骨折骨密度低下と関連する骨折で,大腿骨近位部,骨盤,胸腰椎,上腕骨,手関節などで生じる.フォーク状変形橈骨遠位端骨折では,骨片が背側に転位し,横から見ると手がフォーク状に曲がる変形がしばしば起こる.手術のリスク高齢者では予備能力が低下しているため,手術により,不整脈,心筋梗塞,呼吸状態の悪化,脳梗塞など全身状態の悪化の危険性がある.手術では,多量出血,感染などに注意が必要である.Ⅱ広範囲の軟部組織損傷,組織片,剝離を伴わない1cm以上の創傷.Ⅲ広範囲の軟部組織の裂傷,損傷,あるいは欠損,もしくは開放分節骨折を伴う開放骨折.このタイプには,血管修復が必要となる.開放骨折も含まれる.ⅢA広範囲の軟部組織の裂傷,損傷があるにもかかわらず,折れた骨を適切に骨膜で被覆することが可能なタイプⅢの骨折.ⅢB広範囲な軟部組織の損傷や骨膜剝離,骨の損傷を伴う,タイプⅢの骨折.通常,広範な汚染を伴う.さらに軟部組織の被覆術が必要となることが多い(例:遊離皮弁あるいは回転皮弁).ⅢC軟部組織損傷程度に関係なく,修復の必要な動脈損傷を伴う,タイプⅢの骨折.図1-2●下腿開放骨折図1-3●上腕骨の骨折211骨格系の運動機能とその障害

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る