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③看護が対象とする人間は身体的,心理・社会的側面を併せもつ統合体または単一体として存在する.④看護は疾患そのものを対象とするのではなく,(疾患をもつ)人間(の反応)に注目する.看護独自の機能は,対象の健康問題に対する反応を査定し,看護診断を行い,ニーズを充足できるよう自立に向けての援助を行うことである.⑤看護は対象の尊厳を尊重し,自立へ向けて働きかける.⑥看護は対象との相互作用を通じて人間関係を形成する過程で行われる.⑦看護は包括的保健医療システムにおける専門職として,他の専門職とともに健康増進,疾病予防,健康回復に力を発揮する. 看護の定義には対象の範囲,対象のとらえ方,目標,目標を達成する機能(看護活動)などが含まれている.すでに見たように,看護は包括的な概念であるが,一般化していえば,「人々が健康的な生活を営み,その人らしく生きることを支援する行為である」といえよう.この場合の「生きる」とは,単に命をながらえることではなく,日々の生活を重ねることで,その人が成長・発達し,自立した存在へと自らを変容させていくことである. 前項において,看護とは「人々が健康的な生活を営み,その人らしく生きることを支援する行為」と述べた.では,この目標を達成するために,看護師は具体的にどのようなことを行うのか,次のケースを例に考えてみよう. 2看護の役割専門職団体看護の定義日本看護協会(Japanese Nursing Association:JNA) 看護とは,健康のあらゆるレベルにおいて個人が健康的に正常な日常生活ができるように援助することであり,この場合の健康のあらゆるレベルにおける援助というのは,健康危機,健康破綻,健康回復など健康のどのレベルにおいても,対象となる人がそれまでもち続けていた生活のリズム(健康な状態)にまで整えるということである.看護と他のチームメンバーとは対象との関わり方に区別されるものがある.看護師と対象との関係はある目的を目指し両者が協同していく相互作用の過程である.この過程で目指しているものは,対象の自助力への働きかけである 5 ). (1973)アメリカ看護師協会(American Nurses Association:ANA)・ 看護とは顕在的または潜在的な健康問題に対する人々の反応(responses)についての診断と処置である 6 ). (1980)・看護実践の四つの特徴 7 )①看護問題のみに焦点を当てるのでなく,健康と病気に対する人間の体験および反応の全範囲に注目すること②客観的なデ-タと,患者あるいは集団の主観的な体験の理解をとおして得た知識を統合すること③診断と手当ての過程へ科学的知識を適用すること④健康と癒しを促進するケアリングの関わり合いを提供すること (1995)国際看護師協会(International Council of Nurses:ICN) 看護とは,あらゆる場であらゆる年代の個人および家族,集団,コミュニティを対象に,対象がどのような健康状態であっても,独自にまたは他と協働して行われるケアの総体である.看護には,健康増進および疾病予防,病気や障害を有する人々あるいは死に臨む人々のケアが含まれる.また,アドボカシーや環境安全の促進,研究,教育,健康政策策定への参画,患者・保健医療システムのマネージメントへの参与も,看護が果たすべき重要な役割である8,9).(日本看護協会 国際部訳) (2002)表1-1●看護の定義191看護への導入
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