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(1)看護の実践 このような状況にある中村さんに対して,看護師は,一般に以下のようなことを実施する.●情報の収集● 中村さんの体全体の状態を観察し正確なデータを得るとともに,心理面や家族など,生活背景に関する情報も集める(中村さんはこの現実をどのように受け止め,どう対応しようとしているのか.看護師が行おうとすることに対しての中村さんの意向はどうか.中村さんが大事にしていることは何か,心配事は何か.看護師に希望することは何か).●アセスメント(情報の分析)● 中村さんの状態を身体的,心理・社会的側面から査定(アセスメント)し,健康上の問題を明らかにし,看護計画を立案する.20ケーススタディ 中村優子さん,45歳,女性.朝6時30分ごろ,川の土手沿いをジョギング中に,小石を踏みバランスを崩して転倒し,そのまま土手を転げ落ちた.たまたま近くを通りかかった隣人に発見され,7時に救急車で病院へ運ばれた.外来で診察を受けた際,腰痛と左下肢の痛みを訴え,鎮痛薬(ソセゴンⓇ15mg)の筋肉注射が施行された.左足首の腫脹がみられ,全身所見およびレントゲンの結果,全身打撲と左足関節骨折の診断を受けた. その後,車椅子で病棟に移動し緊急入院となった(4人部屋).患部(左足関節)はシーネで固定し,安楽枕を用いて挙上した.医師から,治療方針として,患部の腫脹が軽減したら,1週間後にはギプスを装着すること,ギプスは約4週間装着し,骨折が修復されたらシーネ固定となることが説明された.今いちばん重要なことは「左足関節の安静を保つこと」であると説明を受けた.排泄は車椅子でトイレまで行けると言われたが,左足を床につかないでうまく動けるか,痛くないかどうか心配である.入院は初めてであり,カーテンを引くときにも,他の患者に迷惑をかけないか気を遣っている. 中村さんは家族のことも心配している.家族構成は会社勤務の夫(48歳)とその母親(80歳)である.夫は妻の緊急入院の知らせを受け,今病院へ向かっており,30分ほどで到着予定である.義母は認知症であり,要介護3(介護保険)と認定され,週2回のデイサービスを受けている.徘徊などはみられないが,日常生活の全般を中村さんが世話している.今日はデイサービスの日で午後5時に帰ってくることになっている.夫か,車で15分のところに住んでいる義理の妹にお迎えとその後の世話を頼まなければならない.義理の妹には小学校1年生の子どもがおり,夫は(中村さんによると)仕事人間であるため,二人とも都合がつかなかったらどうすればいいだろうと困っている. 退院は,順調に経過した場合,ギプス装着後,松葉杖で歩行ができるようになれば可能ということであった.
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