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●健康上の問題の明確化●1)骨折が順調に回復し,最短で退院できるかどうか心配している.2)突然に骨折のため緊急入院となり,家族(特に認知症の義母)のことを心配している.3)排泄の際,車椅子でトイレへ行くことを以下の2点で苦に思っている.①人の手を煩わせてしまう.②痛みが生じるかもしれない.4)同室の患者とうまくやっていけるかどうか心配している.●看護の目標●長期目標 家族のことを心配せず安心して入院生活を送ることができるよう環境を調整するとともに,左足関節骨折が合併症を起こすことなく順調に回復し,早期に退院できるよう支援する.短期目標の一部分の例1)中村さんがいない間,家族が無事に生活できる.①認知症の義母が日常生活の世話を適切に受けることができる.②夫が現状を受け入れ,妻に協力する.2)車椅子とベッド間の移動をスムーズに行うことができる.①左足関節の安静を保つことができる.②移動の練習を行い,効果的・効率的に動けるスキルを習得する.3)生活行動を制限されることによる身体的弊害とその予防策を言える.①膀胱炎や便秘を防ぐため,水分は1,500cc以上摂取する.②骨折していない右下肢の筋力を低下させない.4)骨折で入院したことによるストレスを軽減し,快適に過ごせる.①遠慮や我慢をせずに,意見や疑問,自分の考えを表明できる.②プライバシーを守ることができる.③清潔などの生活行動を保持できる.●具体的なケアの実施●地域との連携:医療福祉のケア提供チーム間の調整① 中村さんは自分のことも心配であるが,それ以上に同居している認知症の義母やペットの小型犬の世話ができなくなったことを心配しているため,夫や義理の妹,およびケアマネジャーと今後のことを相談するよう助言し,安心させる.② 中村さんの意向を確認し,家族が適切な支援を受けられるように調整を行う.例えば,病院のメディカルソーシャルワーカー(MSW)に依頼するか,または看護師が中村さんの代理で義母のケアマネジャーに連絡するなど,義母が適切な世話を受けられるようにする.③ 中村さんと夫が社会資源を有効に活用できるよう積極的に情報を提供し,また必要時には院内のMSWや地域の医療・福祉機関とも連携を図る.MSWmedical social worker.医療ソーシャルワーカーともいう.病院などの保健医療の場において,社会福祉の立場から患者の抱える経済的・心理的・社会的問題の解決,調整を援助し,社会復帰の促進を図る.(医療ソーシャルワーカー業務指針.厚生労働省健康局長通知;平成14年11月29日健康発第1129001号).211看護への導入

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