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 少子化と高齢化の進展,医療技術の進歩とそれに伴う倫理的課題の出現,国民のニーズの多様化,医療提供の場の拡大,さらに看護教育水準の向上など,看護職を取り巻く状況はドラスティックに変化している.このような状況において,人々の健康に対するニーズは多様化し,看護職は,保健・医療・福祉の分野において,より安全で質の高い,かつ効率的な看護を提供することが求められている.この役割を遂行するために,今後どのような方向性をもって進んでいくべきかを理解し,その役割遂行にふさわしい人材を育成することが看護基礎教育の課題である. 2009(平成21)年度における改正カリキュラムでは,教育内容の充実を図り,学生の実践能力を強化することが目的とされた(「看護基礎教育の充実に関する検討会報告書」厚生労働省,2007年).この実践能力は,看護専門職として,より患者の視点に立った質の高い看護を提供できる能力のことである.このような看護職の力は,今後ますます必要とされてくるだろう.先進医療を行う医療機関,急増する高齢者に対応する在宅医療,いずれの場においても患者に安全かつ効果的に医療・ケアを提供するには,医療・ケアチームを構成するメンバーそれぞれが,専門性を発揮し,責任をもって患者を支援することが重要である. このようなチーム医療を推進するために,厚生労働省は看護師の役割拡大を図ることが重要との認識を示し(「チーム医療の推進に関する検討会報告書」,2010年3月),保健師助産師看護師法第5条に定められている業務「療養上の世話又は診療の補助」のうち,看護師が「診療の補助」として安全に実施することができる行為の範囲を拡大する方針を定め,2014年6月に保健師助産師看護師法の改正において,「特定行為に係る看護師の研修制度」を創設した.この制度の活用のもと,看護職が役割を拡大し,さらに専門性を発揮していくには,的確な技術を身に付け,患者の安全を担保するとともに,患者の尊厳と権利を守るという専門職としての価値を体現することが求められる. したがって,基礎教育ではその土台となる専門的知識と技術を学び,科学的思考を深めるとともに,看護の価値とコミットメントを醸成し,専門職として研鑽しようという意欲を育むことが重要となろう. 教科目「看護学概論」は,看護学の土台である基礎看護学に位置し,看護学を履修する学生が最初に学習する専門科目であり,看護学全体の基本的内容を含む.さらに,看護に関する過去と現在および未来の見通しを伝え,看護学の本質を理はじめに

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