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 我が国では,諸外国に例を見ない速さで進む高齢化を背景に,高齢者のみならず,障害児・者を含む地域のすべての人々が,疾病や障害があっても,生活の質を維持し,可能な限り住み慣れた地域で,その人らしい暮らしを続けられるように,地域包括ケアシステムの構築が推進されています.  地域包括ケアシステムの一翼を担う看護師には,生活と医療の両方の視点をもって,“個”から“地域システム全体”を見渡し,ケアを展開する“要”としての役割を期待されています.実際に,看護基礎教育における実習や,卒業後の看護師としての就業の場は,病院などの医療機関だけでなく,訪問看護ステーションをはじめ,地域包括支援センター,療養通所介護の事業所など,その活動の範囲はますます拡大しています. 第6版では,在宅看護論の特徴である複合的・総合的な判断力や問題解決能力,組織における看護師の役割と実践方法について学ぶ統合科目として,平成30年看護師国家試験出題基準も視野に,次の点に留意して内容を構成・編集しました.1.在宅看護特有のアセスメントや判断力,多職種チームにおける看護師の役割を具体的に理解できるように記述を充実させました.2.在宅看護に求められる個別ケアだけでなく,生活,療養に必要な社会資源やシステムの創生についても記述を充実させました.3.アクティブラーニングの展開につながるよう,7章「在宅看護における援助技術」の生活ケアでは,フレイルの事例を用いた介護予防訪問看護を,8章ではQ&A形式を用いた多様な訪問看護の事例を掲載しました.4.9章では,これからの在宅看護を考える素材として,日本を含む諸外国の先駆的な取り組みや,在宅看護における事例検討会について紹介しました. 本書とともに,学修効果を高めるためのARを用いた映像,また,姉妹巻である在宅看護論②『在宅療養を支える技術』,ナーシング・グラフィカシリーズ他巻の関連領域へのリンクもご活用ください. 在宅看護を取り巻く環境やその技術は,社会と連動しながら年々変化していくことでしょう.在宅看護を学ぶ皆さんが,変化に柔軟に対応し,多様な看護の場で,その実践能力を発揮できる看護師となられるよう,本書が学習の一助となれば幸いです.編者一同はじめに

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