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ている 6).一つ目は,生物学的要因として思春期や結婚,退職など社会年齢に関連するものなど,ある標準的な年齢段階でほとんどの人に類似してみられるものである(標準年齢的要因).二つ目は,ある特定の時代に同じ国や地域で生きている人々が共通して経験する出来事で,景気,戦争,テロ,流行,大きな天災,流行性の疾病などの歴史的要因が挙げられる.これらは,その時代を生きる人に人生の目標,生活様式や健康問題などさまざまな点で影響を及ぼし,その経験が生涯を通して強い影響力をもつ(標準歴史的要因).三つ目は個人に関わる生活上の出来事(ライフイベント)である非標準的な生活経験要因で,病気,離婚,失業,転職,死別などが挙げられる(非標準的要因).これらの三要因は,相互に関連し合い発達に影響を及ぼすが,その強さは発達段階により異なっている(図1-2).(2)成人期 いろいろな経験をしながら生涯にわたり発達していく中で,成人期とは,成人になるための準備期間である青年期に始まり,壮年期を経て,老年を迎える準備に至る向老期までの,ほぼ40~50年間を指す. 青年期は,心身の発達と社会的自立を準備する時期に当たる.壮年期は,成熟した身体機能を維持するとともに,自立した社会生活を営み,家族の自立を助けることなどを通しながら,精神活動の充実を図る時期である.向老期は,心身の加齢,衰退を受け入れながら,老年期の自立に向けて準備し,さらなる充実を図る時期である. この40~50年間は,身体的には成長・成熟・衰退と変化する中で,精神・心理・社会的には親から独立し,職業選択をして自立した生活を営み,結婚して家庭を築き,子どもを育て,家族の健康行動を導くとともに健康管理を担い,社会的な期待も大きBaltes et al.1980より改変標準歴史的要因影響の相対的強度非標準的要因標準年齢的要因幼児童期青年期成人期老年期図1-2●生涯発達における主要な影響要因の相対的な影響力の発達的変化191成人であるということ

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