学②高齢者看護の実践』では,高齢者の生活を支えるという視点の上に,高齢 者に起こりがちな身体症状や,疾患・障害をもつ高齢者に対し,生活機能の視点からどのようなケアが実践されればよいのか,そして長期療養施設の看護,認知症高齢者の看護,高齢者特有の終末期の看護などについて,具体的に学習できるような内容にしました.演習あるいは実習の場で役立つように,実習例を示しながら解説しています. 本書では,以下のような特徴をもって記述することを心掛けました.①2025年問題,2040年問題,その後の多死社会などを視野に入れながら,現代の高齢者の特徴,社会的位置付け,高齢者にとっての健康やQOLの意義などを,国家試験必須の統計データなどとともに解説する.②これからのケア体制は,人的資源だけでは十分なケアの質を維持できないことが予測され,それらを補完するために必要となってくるであろう,AIや介護ロボット,テクノロジーについても重要と考え,高齢者をサポートする社会体制(法,制度,社会資源)とともに,看護師の役割を絡めてわかりやすく記述する.③日本の保健・医療・福祉のありかたは,地域包括ケアシステムが重要であり,地域に目を向ける視点はますます高まっている.この視点を身に付け,切れ目のない医療・ケア体制,公的サービスだけではなく,その間をつなぐサービスの体制づくりなど,多職種連携も含めた看護のありかたを学べるように,地域包括ケアシステムと,在宅・施設などの多様な生活の場における高齢者看護を詳しく解説する.④高齢者看護の特性や,活用できる看護理論,倫理,アセスメント,高齢者特有のバイタルサインや疾患について,ポイントを絞って解説する.高齢者看護に重要な目標志向型思考や,高齢者の意思をどう尊重するかなどの倫理的な考え方を大切にして,記述を深める.⑤高齢者の健康づくりは,生活習慣病を予防し,健康寿命を延ばして元気な日々を過ごすためにも大変重要であり,高齢者のヘルスプロモーション,高齢者の生活を支える看護などについて,加齢変化のポイントを踏まえて解説する.⑥高齢者の基本的生活の支援として,コミュニケーション,食生活,住まい,社会参加,セクシュアリティについても,多くのページを割いて解説する. 老年看護学に関する知識や技術は,これからもさまざまな研究や実践によってよりよいものが工夫され,変化していきます.時代に即応した教科書となり,内容の充実を図っていくために,本書を利用された皆さまからの忌憚のないご意見,ご感想をお寄せいただけましたら幸いです.編者を代表して 堀内 ふき
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