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 医療は,単一の職種のみでは質の維持が難しく,種々の職種がチームとなって協働するチーム医療が重視されている.このことから,保健師助産師看護師法で規定される,「療養上の世話」と「診療の補助」という看護師の機能をいかに効果的に発揮するか,看護師の能力が問われている. 少子高齢化の進展,医療技術の高度化,在宅医療の普及,看護教育水準の向上などに対応した看護のあり方が検討され,2002(平成14)年には,厚生労働省通知により,それまで医師が行う行為とされた静脈注射が,看護師の「診療の補助行為の範疇として取り扱うもの」との行政解釈に変更された.また,いくつかの職種からなるチームの一員として看護師が活動するようになったり,一定の活動領域で専門性を発揮して働く専門看護師や認定看護師が養成されたりするなど,「療養上の世話」と「診療の補助」という看護業務が,役割の異なる看護職によって行われるようになってきた. さらに,2010(平成22)年の看護師国家試験から,薬理に関する知識が深く問われるようになった.看護師による与薬は,薬剤による身体反応を十分に理解していることを前提に許されている行為である.国家試験で薬剤に関してより深く問われるということは,薬剤についての看護師のアセスメント能力と実践能力がそれだけ高まることが期待されているといえる. また,2017(平成29)年の国家試験では,検査値に関する問題が増え,平成30年看護師国家試験出題基準にも「基本的な臨床検査値の評価」の項目が追加された.症状だけでなく検査値から疾患の徴候を判断する能力が求められている. 1身体の理解とそれに基づく判断力の重要性 1チーム医療の中で期待される看護師の役割 2実践する能力が高度に問われる12

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