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 フィジカルアセスメントは,2章「フィジカルアセスメントの必要物品,アセスメントのテクニック」からスタートする.ここではフィジカルアセスメントの実施に先立って行うべき,望ましい環境の調整,患者と看護師の準備,必要な物品について理解することができる.これらの事前の調整や準備は,患者から安全に,正しい情報を得て,正確に身体状態を把握するために不可欠なものである. 続いてフィジカルアセスメントのテクニックとして,問診,視診,触診,打診,聴診について説明した上で,バイタルサインの測定方法を概説する.(1)系統別のアセスメント 3章では,「皮膚・爪・髪」「リンパ系」「頭部・顔面・頸部」「鼻・耳・口腔/咽頭」「眼(視覚)」「肺(呼吸器系)」「心臓・血管系」「乳房・腋窩」「腹部(消化器系)」「生殖器(女性/男性)と肛門」「筋・骨格系」「神経系」の12の領域に分けて,系統別のアセスメントを示す. 前述したとおり,フィジカルアセスメントには解剖生理学の十分な知識が不可欠であるため,それぞれの領域で解剖生理学の復習をしながら進めていく.例えば,皮膚が乾燥していることに気付くと,問診で水分摂取の状況や食事について患者に質問したり,意識が低下し経口摂取が不可能な患者に対しては,排泄量に比べて輸液量が適量かどうか日々の記録をチェックする.このような質問やチェックは,皮膚の乾燥のメカニズムを理解していないと適切に行うことはできない. 復習に続いて,問診,視診,触診などのテクニックをそれぞれの領域でどのように用いるか,具体的な問診,視診などの項目を挙げ,アセスメントの根拠・意味を示し 4フィジカルアセスメントの展開 1フィジカルアセスメントの導入 2フィジカルアセスメントに不可欠な人体の構造と機能の理解「価値/信念」など,心理的・社会的側面のアセスメントも可能な視点をもっている.ヘンダーソン,ゴードンのヘルスアセスメントの内容に加え,系統別アセスメントのかたちでフィジカルアセスメントを学ぶことで,呼吸,循環,神経系などの状態を,フィジカルアセスメント技術を用いて,より詳細に学生自身で明らかにしていくことができる. ヘンダーソンの14の構成要素も,ゴードンの11の機能的健康パターンも,患者の情報を漏れなく把握する上で,整理しやすい項目立てになっている.また11の機能的健康パターンは,NANDA(北米看護診断協会)において,看護診断開発初期に分類法Ⅱの検討の際に参考にされたこともあり,NANDA看護診断にもなじみやすい.ゴードンの11の 機能的健康パターン看護独自の視点から患者を全体的にアセスメントする方法論.以下の11のアセスメント領域で構成されている.①健康知覚/健康管理,②栄養/代謝,③排泄,④活動/運動,⑤睡眠/休息,⑥認知/知覚,⑦自己知覚/自己概念,⑧役割/関係,⑨性(セクシュアリティ)/生殖,⑩コーピング/ストレス耐性,⑪価値/信念151ヘルスアセスメントと看護の役割

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