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 本書の初版は平成16(2004)年3月です.その後,「フィジカルアセスメント」は急速に看護界に浸透しました.平成21(2009)年4月の保健師助産師看護師学校養成所指定規則のカリキュラム改正では,看護教育の強化項目として指示されました.そして現在,2025年に向けて在宅ケアの時代へと移行するなか,身体をきちんとみてアセスメントできる看護職者が求められています. 24時間365日,医療を受ける人々のそばで寄り添い支える職種が看護職です.その立場を最大限に生かし,対象者のニーズに沿った看護援助が提供できる能力の向上を目指す教育への熱望はさらに高まっています. 看護援助を提供するための大前提は,人間の身体に関する理解ではないでしょうか.つまり,①身体の構造についての理解,②身体の構造と機能との緻密な関係性の理解,③それらの知識を基盤に,生活者として目の前にいる人の身体の状況を把握する能力です.そして,この能力を育成することが,対象者の異常を早期に発見する基礎力の習得や,効果的な看護援助の提供につながると考えます.以上のように「身体の構造と機能に強い看護職者」を教育する第一歩として,「フィジカルアセスメント」は大変重要な教育内容です. 本書では,解剖生理学の既習項目のポイントを提示し,ゴードンの11の健康的機能パターンで対象者の情報をとらえる方法に加え,看護界に大きな影響をもつマズローの基本的欲求の階層の理解,さらにヘンダーソンの基本的看護の視点から,「フィジカルアセスメント」がどのように看護援助と結び付いていくかという構成にしました.このことにより,ゴードンの機能的健康パターンの枠組みで事例を展開した場合だけではなく,対象者のニードから必要な看護援助を導き出すヘンダーソンの理論で事例を展開した場合に,どのような援助方法を導けるかについても説明を加えました. さらに今回の改訂では,皮膚表面から身体の内面をどのようにイメージさせるかにこだわり,写真の上から骨や筋肉の図版を重ねるなどの工夫を施しました.本書で学ぶことにより,より一層,人体の構造に興味関心を深め,一人ひとりに合わせた看護援助を導き出す一助になれば大変嬉しく思います. 基礎教育のテキストとしてはもちろんのこと,多くの看護職者の方々に活用いただけると幸いです.編者一同はじめに

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