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1)新村出編.広辞苑.第六版.岩波書店,2008.2)永井良三ほか監修.看護学大辞典.第六版.メヂカルフレンド社,2013.3)日本看護科学学会看護学学術用語検討委員会.看護学を構成する重要な用語集.2011.引用・参考文献人との関係の中で実施されるものである.両者の相互作用の中には,客観的なものだけでなく,主観的要素も存在するために,ナイチンゲール以来今日まで,技術をtechniqueとするよりもartととらえる場合が多い」2)と記されている.つまり,先ほど述べた科学の応用というサイエンス(science)の側面をもちつつ,対象との相互作用というアート(art)の側面を重視している点が,看護技術の特徴ともいえる.さらに,日本看護科学学会では看護技術をnursingartとして,「個別性をもった人間対人間の関わりの中で用いられるものであり,そのときの状況(context)の中で創造的に提供される」3)と記している. こうした点を整理すると,看護技術とは安全や安楽を十分に担保した上で,対象となる人の自立を目指す直接行為であり,科学的根拠に基づいて実践するscienceの側面と,患者を一人の個別性をもった個人として理解し,そのニーズや状態を多面的にとらえ,その人にとって最もよいケアを提供するための創造力が求められるartの側面があるといえる.特に後者は,看護技術を提供する側の看護観や技術の習得度が反映され,「看護実践の構成要素」で述べた看護師の「態度」に包含されるともいえる.さらに,看護技術は臨床のある場面(文脈)の中で提供されるため,そのときの患者の思いや価値観,病状の程度,さらに技術を提供する看護師との関係性や周りの状況など,さまざまなものに影響を受ける.よって,全く同じ看護技術が提供されることはない,再現性のない技術ともいえる.こうした点も看護技術の難しさであり,逆に醍醐味ともいえるかもしれない. これまで述べてきたように,看護技術は技術として単独で存在するものではなく,知識・技術・態度が内包されている.scienceというエビデンスに基づいた科学的実践と,患者との相互作用によって創造し生み出されていくartという側面でとらえることもできる. 私たちが患者に提供するさまざまな看護技術は,疾患による身体的な苦しみを少しでも軽減し,精神的なストレスを緩和し,社会的な孤立から救い上げ,安寧や安楽をもたらすものである.一方で,看護技術そのものが生命に直接影響を及ぼし,その影響は不可逆的な場合も多い.こうしたことを十分に自覚した上で,知識・技術・態度のバランスを保ち,artとscienceの両側面を考えながら看護技術を学んでいってほしい.コンテクストとアートコンテクスト(context)とは,その場面における文脈,前後関係,状況,背景などを意味する.そのとき,その場の患者に対して最もよいケアはどういうものかを考え,創造的に提供するところにアート(art)としての技術が生かされ,それは常に一期一会の機会ともいえる. 3これから学んでいく看護技術16
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