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はじめに 本書は、日本語的発想の英語から抜け出して「すこしでもネイティブ発想の英語論文を書きたい」と願っておられる先生方を対象にしています。辞書や表現集を頼りに英語で論文を書いても、「どこか日本語的発想の英語の域を脱出できない」と悩んでおられる先生方です。論文で用いられる表現を収載した良書はすでに多くありますが、私の知る限り、この問題点に着目した専門書は存在しません。 何も頼るものがないのであれば、みずから体系化したいと思っていました。ヒントは身近なところにありました。毎日翻訳している医学英語論文です。私自身もまだ修行の身であり日々悪戦苦闘中ですが、これまでに何百本という医学論文や要旨の翻訳に携わりました。その過程で、どのように学習すれば日本語的発想を脱してすこしでもネイティブ発想に近い英語が書けるようになるかを学ぶ多くの機会に恵まれました。 私は英日、日英のいずれの医学論文翻訳も行っていますが、英日翻訳をしながら原稿を注意深く観察していると(いわゆる書くように読む4444444)、日本語的発想を抜け出して英語らしい英語を書くコツが、すこしずつわかるようになりました。そして今回、その経験から得られた「ネイティブ発想の英語論文の書きかたのコツ」をこのようなかたちで一冊の本にまとめる機会を得ました。 そもそも論文は、日本語であろうと英語であろうと、とても理路整然と書かれており、理解しやすい文章です。毎日翻訳していてそう実感しています。とくにネイティブの書いた英語論文は読みやすく、自然な日本語に置き換えることはそれほどむずかしいことではありません。一方、日本語原稿を英語に訳すときには、思いどおりの質を維持して英文を書くことのむずかしさを

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