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感じていました。そこで取り入れた練習法がバックトランスレーションでした。バックトランスレーションとは、いったん英文を和訳し、後日、今度はその和文を英訳して元の英文原稿と比較し、その差を考察することで、自分の英作文力の弱点を発見するという手法です。 この学習法は抜群に効果的でした。短期間で英作文力が上がるのが実感できました。また、想像以上に日英の言葉の意味の守備範囲が異なる44444444444444444ことを再認識させられました。ふだん何気なく使っている簡単な言葉や表現にこそ注意が必要です。私はこの差を感じ取り、その「発想の溝」を埋めていくことこそ、ネイティブ感覚の英語の発想に近づく早道ではないかと思っています。 その後もバックトランスレーションを取り入れた学習を継続して発見を重ね、その成果を『私家版 英語論文表現集』としてすこしずつ編集していきました。論文を読み書きしながら出合った、通常の表現集や辞書を頼りにしていてはなかなか発想することがむずかしい表現を中心にまとめています。その『私家版 英語論文表現集』が本書の母体となっています。 私は、この意味の守備範囲が違う言葉や表現を正しく理解し、その「日本語と英語の発想のズレ」を肌で感じて、自分の意識のなかできちんと修正することにより、知っているから正しく使えるレベルにまで高める4444444444444444444444ことが、ネイティブ発想に近い英文を書けるようになる第一歩だと考えています。この目的のために、第1章では、もっとも重要な基本頻出キーワードを紹介します。無限にあるわけではありません。わずか50語の基本動詞を使いこなせるようになるだけで英文は見違えるように進歩します。第2章ではフレーズ単位で日英の発想の違いを見ていきます。第3章では論文のロジックに則して頻出表現を取り上げました。第4章はこれまでの個人的学習から得たセンテンスのつくりかたのヒントをまとめました。 また、各章の終わりに設けたコラムでは、パラグラフライティングについて解説しました。どのように書けばパラグラフがロジカルになるのかは悩ましい問題です。しかし、すこしコツを掴むだけでロジカルなパラグラフを書くことは可能です。すでに多くの良書が出版されており、ロジカルイングリッ

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