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シュについての理解は深まりつつあります。それでも私に言わせれば、私たち日本人にとって盲点ともいうべき弱点が存在しています。コラムでは、その弱点について私なりに思うところをまとめています。 本書で紹介した、いわゆるstrong verbと呼ばれている動詞には日本語訳を定着させないことが非常に重要です。そのためにも、本書を対訳の例文集としてではなく、ポイントとなる語句の日本語と英語のあいだにある発想の溝を感じ取り、その溝を埋めるトレーニングとして使っていただければと思います。そのような観点から例文も集めています。 なお、例文として取り上げた英文の日本語訳は、日本語原稿としてのリアリティを大切にしています。真意を理解しづらい箇所もいくつかありますが、それも原稿のリアリティです。日本語独特のあいまいさを感じ取り、それが真に意味している概念を見抜いて、その日本語を適切に英語に置き換えるプロセスを体感してください。また、複数章で類似の例文がいくつか登場します。意図的にそのようにしました。言葉の概念を日本語からイメージし、また英語からもイメージすることで、より正確にその言葉のコアの概念をとらえて「日本語と英語の発想の溝」をすこしでも埋めていただくためです。日英両方向から学習することで効果は倍増すると考えています。この点もあらかじめご了解のうえで読み進めてください。 このようにして得られた私の学びを、本書を通じて先生方と共有できることをうれしく思います。「アクセプト」を目指して論文を執筆されている先生方にとって、本書がすこしでもお役に立てることを願っています。2017年2月医学論文翻訳家前平謙二

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