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12女性泌尿器科とウロギネコロジー 私が『女性泌尿器科へ行こう!』を出版したのが5年前。性差に基づく医療のもっとも必要な科が泌尿器科で、女性泌尿器科の専門医が求められていると書きましたが、2017年を迎えた今日もその状況は変わっていません。1 女性の骨こつ盤ばん内ないには男性にはない、子宮や卵巣があり外陰部には腟ちつが開口しています。膀ぼう胱こうからの尿を排出するための尿道は3~4cmと短いのに対して、男性の尿道は15~20cmと長く、前立腺という臓器を貫く形で排尿がなされるようになっていて、排尿のしくみも大きく異なります(図1)。 泌尿器科はもともと男性の科としてのイメージが強く、実際、多くの泌尿器科医も男性の診察には慣れていますが女性の診察には慣れていません。泌尿器科からみた女性泌尿器科1 女性泌尿器科の病気には、各種の尿にょう失しっ禁きん(尿もれ)や子宮脱、膀ぼう胱こう瘤りゅうなど骨盤の中の臓器が腟から脱出してくる骨こつ盤ばん臓ぞう器き脱だつなどがあり、男性を診察するのとまったく違った考え方をする必要があるのです。 これらの病気は女性の骨こつ盤ばん底ていの障害によることから、診断や治療には骨盤底についての知識が必要になります。女性泌尿器科の専門医には、排尿についての知識に加えて、女性骨盤底についての知識が必要なのです。婦人科からみたウロギネコロジー2 女性泌尿器科の病気は泌尿器科と婦人科の境界領域にあるといえます。婦人科にはウロギネコロジー(泌尿婦人科)という分野があり同じような領域の病気を扱っていますが、どちらの専門医もまだまだ少ないのが現状で、5年前とあまり状況は変わっていません。

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