062新版 実践 縫合の基本テクニックV字状創・T字状創の縫合 6峯岸芳樹,中井國博Sectionはじめに 救急外来で扱う皮膚外傷では,皮膚が必ずしも直角に切れず斜めに裂けている場合も多い.V字状やT字状に皮膚がめくれるような創となることもある. その場合,創の先端部分の縫合で位置がずれないように特に留意する必要がある.縫合によっては先端部分の血流が阻害され,皮膚壊死を起こすことがある.先端部分に緊張が集中しないように,創全体で緊張を緩和する縫合を心がけなければならない.V字状創の縫合 皮膚モデルにV字状創をマーキングする(1).メスや剪刀で切開して,先端部分を鑷子で把持して,皮下組織を剪刀で切っていく. V字状に皮膚がめくれた創部(以下,皮弁)では,底辺方向からの血流のみで栄養されている.縫合でその血流を障害しないことに留意しなければならない(2). まず皮弁の先端部分の皮膚に針糸を浅く通す.先端を鑷子で強く持たないように注意する.先端に対応する反対側の皮膚に針糸を心持ち深く刺入する(3).こうすることで,先端の創縁が合いやすくなる.結節縫合をすると,皮弁の頂点部が元の位置にきれいに収まる(4). 辺部分の縫合では,皮弁側から針糸を通した後に,対側皮膚ではやや先端の方向に向けて針糸を通して縫合する(5).こうすることで皮弁全体で緊張をとり,先端部の皮膚の緊張を緩和することができる.皮膚モデルでのV字状創の作製メスや剪刀で切開して,先端部分を鑷子で把持し,皮下組織を剪刀で切っていく.1
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