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12そのため、目的臓器の近位側には、減衰の少ない低エコー輝度の組織等が来るように観察方向を工夫しましょう。囊胞や胸水、腹水、筋腫などもエコー窓に使いやすいので覚えておきましょう。 呼吸による変動も大きいため、検査内容により呼吸条件が異なります。呼吸の停止位設定は、検査部位により推奨が異なりますが、これは、多くの患者で条件が良好となる部位の設定であり、万人に最適とは限りません。患者の自然呼吸下で画質の条件が最適となる位置での検査が基本となります。血流評価などにおいて、呼吸位の条件が決められている場合は従う必要があることを覚えておきましょう。医師の依頼内容の把握 各種疾患のなかには身体所見から推測できるものもあります。しかし、多くの疾患では推測が困難であり、病変の有無や範囲、潜在する疾患に対する評価がエコーに求められています。そのため、依頼医の目的を十分に把握し、目的に応じた評価を行うことを最優先としますが、潜在する病変に対しても検索を試みる必要があります。左右や上下・前後の記載間違いは軽微なように見えますが重大なミスであり、依頼内容を十分理解したうえで検査に臨み、報告前にも入念に確認後、報告書に記載する必要があります。フィジカルアセスメント 皮膚の状態、呼吸や歩行、腫脹や皮膚の変色、脈拍触知、筋肉や体毛の状態などが病歴を反映する場合もあり、罹病期間の聞き取りも重要な情報源となります。これら情報の収集は、カルテ等から検査前の準備として行うだけではなく、検査時に患者を十分に観察し、確認するとよいでしょう。手術痕や湿疹などは時として検査の障害となる場合もありますが、事前に把握できない場合は、患者から聞き取ることも必要です。時には患者から目的外の部位についての評価を訴えられることがありますが、今回の評価対象ではないことを伝え、専門外領域の場合は十分な評価が困難であることなどを理由に丁重にお断りしましょう。専門領域であれば、報告書への記載の仕方を考えて検査を行い、必ず報告書に実施記録と結果を記載します。報告書に記載がない場合はトラブルの元となるので、報告書に記載できない依頼は受けないようにします。解剖 多くの患者では、解剖図にあるような臓器の形態や配置ですが、構造異常や走行異常は決して少

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