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iii 「脳梗塞という触れ込みだったけど,どうも違う……」,「炎症か腫瘍と思うんだけど,どっちだろう……」,「画像的な鑑別はそうであるとして,どうやって確定しようか……」.そういった経験をお持ちなら,本書がお役に立てるだろう. 本書は,雑誌『脳神経外科速報』の約2年にわたる連載「見逃し危険! MRIで迫る中枢神経疾患の画像診断」に大幅に加筆修正したものである.同連載は,前述のように各科の医師(研修医,レジデント,専門医)および医学生が参加する神経放射線カンファレンスで検討された症例の中で,特に興味深いものが元になっている.おのずと,脳・神経疾患にかかわる医療者が診療科や立場を超えて共有すべき内容になっている(あるいは,そのように意図して構成した). その特徴は,連載時のタイトルが示すように,MRIを軸とした画像診断を症例に即して考えようというスタンスにある.つまり「症例に基づく画像診断」の本というわけだが,見方を変えれば「画像診断に基づく症例検討」の本ということもできる.実際の臨床で,担当医にとって画像所見を適切に解釈することが重要なのは言うまでもないが,画像からうまく診断を絞れたとしてもそれでおしまいではなく,むしろそこからさらに臨床的判断を下すことになる(診断の確定,治療方針の決定,フォローアップ等々).また読影医としても,臨床的文脈を共有することでより的確な画像診断が可能になるのではないかと思う.本書が画像診断を軸に,そこに至る過程やその先の見通しについても考えるヒントを与えるとすれば,編者らとして望外の喜びである. 最後に,監修の労をお取りいただいた徳島大学放射線科 原田雅史先生,推薦文をお寄せいただいた脳神経外科 永廣信治先生,連載から本書出版に至るまで企画・編集・校正等に関してお世話になったメディカ出版編集部 岡 哲也氏に感謝の意を表する. 徳島大学大学院医歯薬学研究部臨床神経科学分野 藤田浩司序 文

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