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101 外科医である前に医師であれ　「外科専門医」である前に，あなたは「医師」である．医師とは，人をトータルで診るプロフェッショナルである．「私は外科医なので，内科のことはわかりません」では，外科専門医どころか医師ともいえない．卒前の臨床実習と初期臨床研修を修了した成果は，きっちり見せてもらおう．　外科専門医は，外科に関する知識と技能を持っている総合診療医である．日々進歩している医学の最新の知識は，自分のものにしておこう．知識不足のために患者が治療の機会を失うようなことがあってはならない．一生勉強！ 知識も技能も！ 日々，切磋琢磨！2 医師である前に社会人であれ　医師である前に，あなたは一社会人である．長い学生生活の後，社会に出てまだ数年しか経っていないのだから，他の職種に比べ，社会常識が足りないことを自覚しなければならない．患者や家族が「先生，先生」と頭を下げてくれると，あたかも自分が偉くなったかのような錯覚に陥ってしまいがちだ．しかし，患者は医学の知識や技能はなくても，人生の先輩だ．その先輩に対し，失礼な言動をとる医師がいかに多いか．確かに人それぞれ考えは異なるし，自分の流儀を通すのは自由だが，医療で最も大切なことは「相手がどのように感じるか」だ．ただ，人の受け止め方も多様で，紋切り型は通用しない．その多様さも，医師は受容しカバーしなくてはならない．医師としての包容力も身につけておくことで，ようやく外科専門医と言える．1 外科専門医である前にあなたは，外科専門医である前に，一人の「医師」である．　また，あなたは医師である前に，一人の社会人である．技能とともに医師の心を持ち合わせてこそ，プロの外科医だ．「外科専門医」への期待と支援A