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4種々の組織の切開・剥離 所属施設における作法や術者の好みもあるため,定型的な方法はないといえるが,ここでは比較的一般的な手技・方法についてのみ述べる.1脂肪組織 厚みのある脂肪層に対して切開を行う場合は電気メスが用いられることが多い.電気メスの使用方法は,組織に押し当てて切離するのではなく,少しだけ電気メスと組織に間隙をつくるイメージで脂肪を切開する.電気メスには凝固と切開のモードがあるが,脂肪層内の場合は切開モードのほうが早く展開できる.凝固モードでは出血の少ない展開が可能となるが時間を要する.一方,薄い脂肪層や,瘢痕や顔面などの場合は電気メスではなく剪刀が用いられるほうが多い.このときの剪刀の使用方法は,手と指で組織の厚みを意識しながら切開する.指で組織の厚みを意識している限り,blindで操作することも可能である(図4).2筋肉組織 筋肉組織は筋肉内に比較的太い血管が入っている場合があるため,ペアン鉗子やモスキート鉗子などである一定量の筋肉をすくいあげて結紮切離したほうが,術中・術後の出血を最小限にすることができる(手順1).しかし,出血はやや多くなるが,手術時間の短縮目的で電気メスの凝固モードでゆっくり切開する方法を用いてもよい.なお,筋肉(筋膜)組織を周囲組織から剥離する場合は,電気メスでゆっくり緊張を加えながら行う.その際,通電により筋肉組織が収縮するので,適宜緊図4 大腿前面部の皮下剥離比較的脂肪層が薄い部位では,剪刀を用いて指で皮膚と剪刀の位置(組織の厚み)を確認しながら脂肪層を剥離する.下眼瞼の皮膚切開●①内眼角の皮膚切開●②図3 11番メスを用いた皮膚切開例①メスの刃を上にして使用することが多い.②小さな皮膚切開は11番メスを用いたほうが正確に施行できる.
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