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11第1章1「安静」は治療ではない!?師。しかし、玉手箱をあけたら、急に老け込んでしまう! まさに、病院は現代の「竜宮城」であり、医療スタッフである読者のみなさんが、はからずも患者を老化させているわけです。動かないとどうなる?~安静がひき起こす廃用症候群~ このように、安静によって全身に及ぶさまざまな有害な影響を「廃用症候群」といいます。廃用症候群には、表のようにさまざまなものがあります2)。まず、1日の安静で2%の筋力低下、すなわち2歳分の老化が起こります。さらに重要なことに、老化は、筋肉だけではなく全身に起こります。具体的には、関節が拘縮して骨量が減り、骨折しやすくなります。もともと肺炎や心不全で入院して安静にした結果、退院するころには腕が挙がらなくなる、歩けなくなるなどは、典型的な廃用症候群の症状です。 廃用症候群は、内臓のはたらきや心理面、生活の質(QOL)の領域でも認められます。認知症、幻覚、妄想、不安、不眠、うつ状態もひき起こしやすくなります。肥満、糖尿病、脂質異常症が助長され、動脈硬化が進行し、心血管系の疾患を発症して寿命まで縮めます。廃用症候群は寿命をあきらかに縮める 表 …低活動によりひき起こされる身体諸器官における廃用症候群(文献2より)①筋肉筋萎縮、筋力低下(1日2%、月50%)、酸素摂取能低下②関節腱・靱帯・関節包の硬化・拘縮・屈伸性低下③骨骨粗鬆症、易骨折④心臓心筋萎縮、心収縮力低下、心拍出量低下、心負荷予備力低下⑤血管毛細管/組織比の低下、循環不全、浮腫、褥瘡⑥血液・体液血液量減少、貧血、低蛋白⑦内分泌・代謝ホルモン分泌低下、易感染、肥満、カルシウムバランス負、インスリン抵抗性の増悪、脂質異常症⑧呼吸器呼吸筋萎縮、無気肺、肺炎、換気血流不均等⑨腎・尿路腎血流減少、感染、結石、失禁⑩消化器消化液減少、吸収不全、便秘⑪神経・精神心理平衡感覚低下、認知症、幻覚、妄想、不安、不眠、うつ状態、QOL低下、起立性低血圧

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