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ii 「いつか皮膚エコーの本を出そう!」を目標に、放射線科医平井と皮膚科医として歩みだした正畠の2人で皮膚科領域の超音波を本格的に始めてから早いものでもうすぐ10年になる。当時、皮膚エコーのまとまった教科書はほとんどなく、手探りの状態であった。どうしたら超音波で病変の特徴を示す情報を、より正確に多く引き出せるかを平井が担当し、どのような情報が臨床で役立つかを正畠が実践した。症例が蓄積されるにつれ、次第にさまざまな疾患の超音波所見の特徴がわかるようになり、「境界明瞭で平滑な腫瘤で、外側陰影を認める」と記載してあれば、「被膜を持つような病理像を考える」というように、超音波所見を病理像に置き換えて正畠が医局の皮膚科医達に説明した結果、現在、奈良県立医科大学では多くの皮膚科や形成外科の医師が超音波に興味を持ち、皮膚科の外来にも超音波装置が置かれるようになった。 最近、表在領域の超音波の需要が高まってきているが、超音波検査をする側はどのように検査結果を伝えたらよいのか解らず、依頼する側は記載されている超音波所見の意味が解らない。この溝を埋めるためには、超音波画像と病理像を対比し、画像をどうよみ、どのような病理像を想定するか、超音波で陥りやすいピットフォールは何かをお互いに認識することが重要である。この本
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