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 5年前、中外医学社から『めざせ!血管エコー職人』を上梓した。皆さまの愛読書として広く親しまれ、多くの患者さまのためになったと自負している。にもかかわらず本書『web動画 みて! マネて! いざ実践! 職人技伝授! 下肢静脈エコーの攻略法』の執筆を引き受けたのは、下肢静脈エコーのガイドラインが改訂されたことに加え、診療保険点数の新設やDVT治療薬の開発とVarixにおける低侵襲治療の急速な普及など、下肢静脈エコー検査の需要がさらに増しているからである。また、 下肢静脈に限定した成書が少なく、お役に立てればと思い、単著を決意した。 新ガイドラインでは他の画像診断と同様、 下肢静脈エコー検査はGold Standerdに位置づけられている。おそらく、エコー検査がGold Standerdに位置づけられている領域は他にはない。また本領域は、エコー検査のなかでも最も観察範囲が広く、各部位における正確な走査法と検査手技、評価法が求められる。本書は、決して平板な教科書的内容のものではなく、単なる文献の紹介をした本でもない。各部位における血管の描出方法や観察・評価方法について、日々、現場で苦労を重ねる技師としての視点から、豊富な画像とイラストを用いて、かなり具体的に記述した。また、 匠の技ともいうべき手技が必要とされる場面では、決して誌面では学ぶことができないテクニックを動画像で閲覧できるようにした。もちろん、最先端の話題やガイドラインなども網羅し、本書一冊で下肢静脈エコーが完全に攻略できる最新の知識と技術が得られるようにまとめている。 本書の活用方法は系統的に始めから読むのでもよいが、興味のある領域から読んでいただいてもよい。皆さまの疑問点をランキング化し、6・7頁に掲載したので、効率よく日頃の疑問点から解消してもよい。また中上級者を目指す方は“職人技伝授”“ひとくちメモ”“ワンポイントアドバイス”“ピットフォール” “注意喚起”などの欄を拾い読みしてもスキルアップできる。すでに静脈エコーを習得された方には、さらなるスキルアップのために浮腫の項に目を通していただきたい。第5章では、実際の画像を閲覧いただき、 自分が実際に検査したつもりで仮報告書をつくってみてほしい。 本書は、私が四半世紀、苦心して得た知識と技術の集大成である。これから始める初級者から後輩を指導する上級者まで、一人でも多くの方々の目に触れ、幅広くご活用いただければ幸いである。そして本書が、“あなたに診ていただく患者さまのためになる本”となってくれることを祈っている。 最後に、本書の発刊に際してご尽力をいただいたメディカ出版編集部の渡邊亜希子氏、 動画撮影にご協力いただいたキヤノンメディカルシステムズ株式会社の皆さまに心から御礼を申し上げたい。2018年4月8日血管エコー職人 山本哲也序文

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