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3編集にあたって 『若手医師のための 脊椎外傷の診断・保存的治療・手術』がついに刊行されることになった.本書は整形外科の若手医師だけではなく,救急医や整形外科専門医にも十分役に立つよう企画したつもりである. 脊椎外傷はどの地域でも発生するが,その治療は特定の外傷センターなどに託されていることが多く,初期治療からかかわった経験が少ない若手医師が多いと思われる.少なくとも脊椎脊髄損傷の初期治療はどのように行うべきかはどの医師も知っておくべきで,特にその治療内容によっては患者の予後を大きく左右することも多い.その意味を含めて脊椎外傷患者が運ばれてきたらまず何をすべきか,この基本的でまた最も重要な問いに対して,救急集中治療専門医の立場からと脊椎脊髄外科専門医の立場から述べてもらった.きっと第1章をお読みになると脊椎脊髄損傷患者が運ばれてきても,おたおたせず自信をもって対応できるであろう.また第2章では後頭頚椎移行部を含めた上位頚椎から腰椎までの各部位に分けて,その的確な診断に必要な画像診断とその所見の見方やグレード分類をシェーマを多く取り入れてわかりやすく解説していただいた.さらに手術手技については可能な限り動画を取り入れ,よりビジュアルで臨場感あふれる内容にしている.手術のピットフォールはどこなのかがよく理解できるであろう.第3章では脊髄損傷の急性期における薬物治療の進歩はどのようになっているのか,また慢性期に移行した脊髄損傷に対する薬物治療,リハビリの実際についても記載いただいた. 脊椎脊髄損傷治療は,その初期対応,初期治療,そしてその後の手術治療やリハビリテーションに至るまで急激に進歩している.読者が実際に患者を目の前にしているかのごとく何をしたらよいのか,どの治療が適切なのかをよりわかりやすく臨場感をもって目に焼き付けることが可能な一冊になったのではないかと思う.本書を刊行するにあたって,大変お忙しいなか時間を割いて執筆に応じてくださった多くの著者,また関係者の方々に心より感謝の意を表したい.浜松医科大学整形外科教授松山幸弘

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