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23肝臓の正常解剖1Chapter 1●肝臓は約1,500gあり、人間の最大の実質臓器である。●超音波検査は、CT・MRIと異なり1画面で描出できる範囲が狭いという欠点がある1)。見落としがないようにするには、解剖を理解し、可能な限り端から端まで観察することが重要となる。●肝臓は、大部分が肋骨に覆われており、下方は胃・大腸に接しているため、これらを避けた観察方法となる。したがって水平断はほとんどなく、斜走査による断層像がほとんどとなるため、頭の中で前後関係や頭尾側方向が、混乱しないようにすることが大切である。●超音波では、門脈が比較的末梢まで描出できるため、門脈枝によるクイノーの肝区域分類(Couinaud's hepatic segment)に従い、S1からS8の8亜区域(subsegment)2)に分けて表現する。所見記載の際にも、共通の用語を用いることは、検査結果の客観性を保つためにも重要である。●区域の境界となる構造物の確認も重要である。肝鎌状間膜および肝円索、静脈管索裂によって左葉内側区域と左葉外側区域に分けられ、下面ではさらに肝門の前方に方形葉(S4),後方に尾状葉(S1)と呼ばれる左葉内側区域が区分される。また、中肝静脈はCantlieラインの部分となり、肝の右葉と左葉の境界、右肝静脈が肝右葉の前区域と後区域の境界となる。肝臓の正常解剖1

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