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『腹部超音波検診判定マニュアル』が日本消化器がん検診学会、日本超音波医学会、日本人間ドック学会共通で2014年4月に発行された。これは検診や健診の腹部超音波検査の質の向上と均質化、およびがんに対する判定基準の共通化をはかる目的で作成されたもので、各臓器で得られた超音波所見がどれくらい悪性を疑うものであるかをカテゴリーで示し、どのように対応すべきかを判定区分として示したものである。 4年が経過し、マニュアルの認知度は高くなってきている。実際にこれを導入した施設からは、「不必要な精密検査が減少し、技師間での格差が減少した」「観察のポイントがわかりやすく、新人教育にも有用である」、などと好評をいただき、マニュアルの作成にかかわったものとしてうれしく思っている。  しかし、各臓器の超音波所見について「細かくカテゴリーが決められているので覚えられない」「マニュアルで示されている画像が典型症例だけであるため、実際の現場では判断に迷う症例がある」「壁肥厚とは何mmになったら肥厚とするのか?」などいろいろな質問を受ける。  「モザイクパターン」を言葉だけで理解し、肝血管腫をモザイクパターンと判断している事例もある。これは所見の意味をよく理解していないために起こったものである。  そこで本書では、検(健)診にマニュアルを導入したいが、十分に理解できていないので迷っている技師や判定医、技師の新人教育や腹部超音波スクリーニングをマスターしたい研修医などを対象に、まず各臓器の描出のコツやピットフォールについて示し、次にカテゴリーを判断する際に重要な超音波所見の成り立ちや意味の解説、間違いやすい症例や悩む症例を提示した。ポケットに入れていつも持ち歩き、ちょっと悩んだときに、すぐ確認していただきたい。 2018年7月平井都始子序文

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