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15肩外傷治療の基本第1章01肩の解剖 上腕骨頭と肩甲骨関節窩との間の関節である.球関節で運動範囲が大きな多軸性関節である.可動性が大きい反面,脱臼しやすい.肩甲骨関節窩は上腕骨頭に対して非常に小さいため,軟部組織(関節唇,関節包,腱板,関節上腕靱帯,烏口上腕靱帯など)によって安定化されている.関節包を補強する関節上腕靱帯(glenohumeral ligament:GHL)として上・中および前後下関節上腕靱帯(superior GHL:SGHL,middle GHL:MGHL,inferior GHL:IGHL)が存在し,種々の変異がみられ個体差が大きい(図9). 肩峰と鎖骨との間の関節である.肩鎖靱帯と❶肩甲上腕関節(狭義の肩関節)(glenohumeraljoint)❷肩鎖関節(acromioclavicularjoint)関節円板,関節包からなり,関節円板は不完全な半月の形をとることもある.上方の肩鎖靱帯がより強い構造をしているが,それだけでは不安定であり烏口鎖骨靱帯(coracoclavicular ligament)(菱形靱帯,円錐靱帯)が安定性に大きく関与している(図6,図10).菱形靱帯は烏口突起先端より23 mm離れた部分から基部までの外側に始まり,上外側に走行し,鎖骨下面に付着する.実測長は平均15 mmであり,鎖骨下面の付着部は鎖骨外側縁から7 mm離れた部位より横幅19 mm,縦幅14 mmの付着範囲を持つ.円錐靱帯は烏口突起先端より42 mm離れた体部の内側後縁より始まり,上方に走行し,鎖骨後縁の円錐(靱帯)結節に付着する.烏口突起から鎖骨に向かって扇状に拡がる薄い靱帯である.実測長は平均10 mmであり,鎖骨外側縁から22 mm離れた部位より横幅21 mm,縦幅5 mmの付着範囲を持つ8,9). 胸骨と鎖骨の間の関節である.関節円板が関節腔を2分し,関節円板,前後胸鎖靱帯,鎖骨間靱帯,肋鎖靱帯により安定化される(図11).関節包は厚く,この関節の運動が失われると鎖骨の回旋制限を認め,上肢の挙上が制限される10).後方脱臼では頚動静脈などの圧迫のため手術治療になることがある.❸胸鎖関節(sternoclavicularjoint)肩峰棘下筋棘上筋関節窩IGHLMGHLSGHLLHB肩甲下筋小円筋烏口肩峰靱帯図9関節上腕靱帯(文献4より改変)(菱形靱帯)鎖骨烏口突起(円錐靱帯)5mm14mm42mm5mm13mm13mm30mm23mm7mm菱形靱帯円錐靱帯19mm22mm21mm図10肩鎖関節の付着部(文献9より改変)
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