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語義失語(後述3章)文を構成する最小単位である語(特に具体語)の意味(語義)が理解不能になる症状を呈する。漢字の読み書きに障害が現れる日本語特有の失語症状。タウオパチー病理像として神経原線維変化を示す神経変性疾患の総称。ADをはじめ、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、FTDなどが含まれる。Logopenic型原発性進行性失語原発性進行性失語の亜型として提唱された臨床症候群。中核症状として、自発語、呼称における換語障害、文の復唱障害が挙げられる。がある。語義失語*③では、日常会話であまり登場しない「利き手」という言葉の意味がわからない。「利き手って何ですか?」と聞き返す患者も多い。私:ところで、私の話は聞きやすいですか? 耳は遠くなっていませんか? 念のために、耳の聞こえのテストをしてみましょう。私と同じ言葉を繰り返しておっしゃってください。サシスセソ。はい。いろはにほへと。はい。では、猿も木から……続きをおっしゃってください。診療の着眼点①軽症の患者は、スムーズに、「猿も木から落ちる!」と言って笑う。失語症がある方は「落ちる」と続かない。FTDでは、難聴というふれこみで補聴器まで作っていることが多い。しかし、本当は音が聞こえていないわけではない。言葉の意味が認識できないのだ。たとえ「落ちる」と続きが反射的に出てきても、このことわざの意味を問うと、「油断すると失敗する」などとたとえ話をキーワード③キーワード④キーワード⑤うまく説明することができない。②失語症の病理は、タウオパチー*④でもFTDのみでなく、最近話題のLogopenic型原発性進行性失語*⑤でADのことも多い。私:耳の次に目の調子をみてみましょう。目の見え方に不自由はありませんか? 私と同じように手を動かしてください。診療の着眼点①手指の模倣動作の整合性によって、視空間認知機能を診る。②ADでは、指キツネや指ハトをまねして作ることができなくなっている場合も多い(後述P.24)。③DLBや進行性核上性麻痺では、目の見え方が悪いという愁訴が多い。その背景には、視空間認知や眼球運動の障害がある。第1章「もの忘れ外来」の現場から初診時のチェックポイントと問診の工夫13

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