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11第章1状況評価不安定性 乗員が負傷するほどの衝突事故では,事故車両は不安定だと見なされなければならない.同様に乗員の状態もおそらく不安定であり,頸椎や他の部位の損傷は車両の動きによってさらに悪化する危険性がある. 車両がどのようなポジションであるかにかかわらず,救助者が傷病者を救出する前に,車両のあらゆるバネの作用や考えられる動きを止めておかなければならない.救助者の安全確保が最優先である.車両を安定化させる方法については,第3章を参照のこと.日常に存在する危険 歩道の縁石,ぬかるみ,メーターボックス,消火栓,排水路を覆うグレーチング(鋼材を格子状に組んだ装置),一段高くなった花壇などはすべてつまずく危険があり,暗くなってから足をくじいて作業の中断を余儀なくされることがある.したがって,足下には注意し,日没後は照明器具を常時携行する. 車両が横転し,そのまま路側の排水溝の中に逆さまになっている場合には,その排水溝が特に問題となる.このような状態ではドアを開けて車内に進入することができない場合がある.こうした状況については,第4章で詳しく説明する. 河川や湖,池,その他の水域に車両が沈んでいるようなケースは,本書の扱う範囲を超えているため,ここでは取り上げない.このような事故に遭遇したら,現場に適切な専門救助チームが派遣されるように計らう.エアバッグもしくは補助拘束装置(SRS) 本書の初版発行以降,車両乗員に対する安全設計は短期間でめざましい進歩を遂げているが,乗員が車外に飛び出さないように働くその仕組みは,救助者が事故車内に進入して傷病者のケアを行うことを困難にしていることも同時に記憶しておかなければならない.エアバッグや他の受動的拘束装置はすでに15年以上も前から多くの車両に装備されているが,それにもかかわらず依然として救助者の心配や懸念の種になっている.安心してエアバッグに対処できるようになるには,エアバッグの扱い方やそれが車内のどこに格納されているのかを知っておくことが重要である.

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