T600081
4/14
iv ITLSの知識と訓練を傷病者に対して提供できない「待ち時間」が,ハーヴェイ・グラント(Harvey D.Grant)がこのコースのコンセプトを開発するきっかけとなった.長年のハーヴェイの夢は,自動車衝突事故で車内に閉じ込められた傷病者に対して,迅速にアクセスできるように救急隊を訓練することにより,「ゴールデン・ピリオド」の貴重な時間を増加させることであった.ハーヴェイは1993年に早世したため,この仕事を完遂できなかった. ハーヴェイの長年の友人であるジェイムス・ガーガン(James B. Gargan,通称ジム)は,彼のビジョンを現実化するための「挑戦」に応じた.ジムは1995年にBTLS(現在のITLS)と提携し,アクセスコースが生まれた.ITLSは,2004年のジムの死後もITLSがコースを継続できるように取り計らってくれたジムの妻であるバーバラ・ガーガンとその家族に感謝する. 献身的かつ賞賛に値する救急医療の指導者および教育者であるこの2人は,すでに私たちの前からは去ってしまったが,彼らの遺産はITLSアクセスコースを受講し,外傷ケアのスキルを向上させた受講生とともにある. ITLSアクセスコースの目的は,救助チームの到着を待っている間に,救急車に搭載された一般的なツールを用いる訓練を行い,車内に閉じ込められた傷病者にアクセスし,傷病者を安定化して救出することである.これにより,受け入れ病院でより早期に根本治療を開始することができ,傷病者を救命して転帰を改善することが期待できる.ITLSアクセスコースはまた,自動車衝突事故現場で活動するすべての関係者が,より安全で一貫性のあるチーム環境下で活動できることを保証する. ITLSはこの第3版(本書の原著)を,自動車衝突事故による死傷者の削減に取り組んでいる今日,昨日,そして明日の最前線の外傷チームメンバーに捧げる.あなたが傷病者のケアと訓練に取り組む姿勢は,世界中の自動車衝突事故による死傷者を減少するのに大きく貢献するであろう.ITLS代表John E. Campbell, MD, FACEPITLS編集委員Roy Alson, PhD, MD, FACEP, FAAEM
元のページ
../index.html#4