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10ER医のプロフェッショナリズム ERを受診する患者は、「この症状は緊急性があるかもしれない」と思って来院する。そうした患者の不安を取り除き、いかに安心してもらえるかが救急医療の果たす役割である。 実際にERでは、重篤で緊急治療が必要な患者が自力で受診することが少なくない。バイタルサインが異常である、意識障害があるなど、明らかに緊急性がある患者に適切な処置を施すことはER医として当たり前のことである。それに加えて、一見緊急性があると判断できないような患者の中から、緊急性のある病態を見抜くことが、ER医としての大きな役割となる。 救急医療では診断がつかないことが多い。診断名を患者に伝えてあげると、患者は病名がわかることで安心することがある。ただ、むやみに病名をつけるものではない。病名をつけることで、「この病気だから大丈夫」という考えが働き、病状が変化しても受診されないことがある。繰り返すが、診断をつけることを目的とするのではなく、あくまで緊急性のある病態を否定すること、入院が必要な状態かどうかを判断することが重要である。そこには独居の高齢者が帰宅しても安全な環境なのか、1ERでの心構え

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