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霧の中を行けば覚えざるに衣湿る 道元 ERおよびER医とは、何でも受け入れて他科のコンサルタントに丸投げすることにより院内に軋轢を生む部署のこと、ではない。少ない医療資源で多くの患者を安全かつ効率的に診ようというシステムとその求道者である。システムである以上、一部門が行うのでなく病院そのものや地域が持つべきものである。 ERとはEducational Resources(教育資源)である。当院は新専門医制度開始からさかのぼること二十五年、1993年から救急専攻医の全国公募を始めた。これまでに50名以上が後期研修を修了し、救急医として、あるいは他科の専門医として活躍している。彼らが得たものは知識、手技のみならずマルチタスクの精神である。満床、多忙、科目外、処置困難でも何とかして受け入れようと努力するのがER。ERとはマルチタスクと見つけたり。これら救急専攻医出身者が救急科以外の他の道に進んだとしても、彼らが救急に協力的な専門医になれれば、日本の救急医療体制は良くなる。救命救急センターの目的は達成したものと同様である。そして将来の専門医、部長、教授、開業医候補である初期研修医たちはERの精神を最もよく吸収する。 ERとはEconomical Resources(経済資源)である。我々は救急外来に隣接した救急病棟25床を有していた“ER made us”

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