どういったものでしょうか。それは「感度 and/or 特異度が高い」「陽性尤度比や陰性尤度比が高い」情報を指します。しかし実臨床では、単一の情報で除外あるいは確定できる情報は限られています。 熟練した医療者は自己の判断で多くの情報を統合し、高い確率で正確な疾患可能性を導くことができるかもしれませんが、初学者はそうはいきません。そこで個々では診断価値の高くない情報を組み合わせたときに有効な使い方ができないか、という観点で考えられた診断ツールがCPRです。 JAMA Users’ GuideによるとCPRは、「個別の患者への診断・治療への評価に役立つように問診、身体所見、血液検査を所見ごとにポイント制で定量化する臨床ツール」と定義されています。 客観的な指標で決断の手がかりとなってくれるCPRは シフト制でさまざまなスタッフが関わることになる救急外来において方針に統一性をもたらす役割 夜勤の最後の時間帯など思考力が低下している状況下でも一定の判断力を維持する足場になる役割などを果たしてくれるものであり、非常に重要です。 また、さまざまなCPRは、診断の確定、診断の除外、予後の見積もりなどにおいて強みを発揮します。そのためには用いようとしているCPRが何を狙って開発されたルールなのかをしっかりと把握することが重要となります。 今回本書で取り上げたCPRを目的別にまとめると表1-1のようになります。■CPRを用いた確率の推定(ベイズの定理) CPRにおいては、その操作特性が尤度比(オッズ比)や感度・特異度で記載されていることが多くあります。それではそれらの数値をどのように用いるかを学びましょう。 ベイズの定理とは元来、新しい事象により以前に起こった事象の確率が変化する、いわゆる条件付き確率を指しており、これをCPRの観点から考えると、ある疾患を考えている際にその疾患にまつわるCPRの結果によって、その疾患の確率がどのように操作されるのかを考えるものと言えます。 具体的には、事前に考えていた疾患の確からしさ(=事前オッズ〔尤度〕)に10Emer-Log 別冊
元のページ ../index.html#10