4施設外分娩1 全国の消防本部への調査(回答率:87.9%、652/742本部)において、2015年における施設外分娩の取り扱い件数の合計は891例で、年間搬送人員(4,914,423例)に占める割合は0.02%であった。分娩時の状況は、救急隊到着時にはすでに娩出:660例(74.1%)、搬送中の救急自動車内での分娩:133例(14.9%)、到着現場で救急隊が分娩立ち会い:82例(9.2%)の順に多かった。新生児に対して心肺蘇生が行われたのは891例中47例(5.3%)で、人工呼吸と胸骨圧迫が36例、胸骨圧迫のみが7例、人工呼吸のみが4例であった。新生児蘇生における胸骨圧迫と人工呼吸の比2 出生したばかりの新生児の蘇生に関して、所轄の消防署のプロトコールにおける胸骨圧迫と人工呼吸の比は、新生児蘇生法(Neonatal Cardio-Pulmonary Resuscitation;NCPR)普及事業推奨の「3:1」が21.3%であった。救急救命士における施設外分娩の立ち会い経験3 消防本部に勤務する救急救命士の約半数において、施設外分娩への立ち会い経験がなかった。新生児用資器材の保有状況4 新生児用の資器材の救急自動車への搭載について、人工呼吸用バッグ・マスク、SpO2モニタのプロ-ブがない消防本部が一定数存在していた。病院前新生児蘇生法の教育5 76.8%の消防本部において、救急隊員が周産期関連の講習会を受講する機会は「あり」と回答したが、受講機会「あり」の中では「個人的に受講」が69.5%を占め、受講料も89.9%が個人の負担によるものであった。また、受講の機会は年に1~2回(51.7%)、不定期(39.5%)、年3~4回(4.4%)の順であった。救急隊が新生児蘇生法を学ぶ必要性6 74.4%の消防本部が「強く必要」、25.6%が「どちらかといえば必要」と回答し、「不要」と回答した消防本部はなかった。3病院前新生児蘇生はなぜ必要か? 出生直後の新生児では、子宮内から子宮外への環境へ適応するために呼吸・循環動態に大きな
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