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4Emer-Log別冊2021標準予防策(SP) 標準予防策(standard precaution:SP)はすべての患者に対して適用される基本的な感染対策となる4)。体液曝露の可能性がある際には、適切な防具を選んで装着する必要がある。例えば、血液、体液、分泌物、排泄物などに触れることが予想される場合は手袋を着用し、患者が咳嗽していたり、または吸痰を行ったりする場合はサージカルマスクや眼を保護するゴーグルやフェイスシールドを装着することなどが挙げられる。また、手指衛生も標準予防策の基本となり、患者に接触する前後、汚染物や患者周辺の環境表面(ベッド柵など)に接触した後には、必ず手洗い、消毒を行うにする。 COVID-19の対策としても、医療従事者は標準予防策を徹底することが重要となる。基本的には誰もがウイルスを保有している可能性を考慮し、特にCOVID-19が流行している地域では、呼吸器症状の有無にかかわらず患者診察時にはサージカルマスクを着用することを心掛け、接触する際には手袋を装着する。サージカルマスク・手袋を外す際には、それらで環境を汚染しないように留意し、所定の場所に廃棄する。また手指衛生を徹底し、手指衛生を行う前に、自らの眼・鼻・口などの粘膜面に触れないように注意し、また患者本人にもサージカルマスクの装着や咳エチケットを呼びかけることが重要である。感染経路別予防策 想定される微生物の感染様式によって、標準予防策に追加して適切なPPEを追加する必要がある。感染経路別予防策には主に、接触予防策(contact precaution:CP)、飛沫予防策(droplet precaution:DP)、空気予防策(air precaution:AP)の3種類がある5)。接触予防策(CP) 感染者からウイルスが直接伝播する直接接触感染と、ウイルスに汚染した物や人を介して伝播する間接接触感染がある。間接接触には、手指衛生が行われなかった医療従事者の手や患者ごとに交換されなかった手袋との接触、血液・体液に汚染した医療器具の使い回しなどが含まれる。飛沫予防策(DP) 感染している患者の咳、くしゃみ、会話などでウイルスを含む飛沫(5μm以上)が、他人の口、鼻、結膜などの粘膜面に付着することによって感染が起こる。サージカルマスクの装着に加えて、結膜保護のためにeye protection(ゴーグル、フェイスシールドなど)を必要に応

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