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5Emer-Log別冊2021第1章 病院と職員を新型コロナウイルス感染症から守るために❶患者からの感染/患者間の感染への対策じて着用する。 飛沫は患者と医療従事者の距離が近くて直接粘膜面に付着することもあるが、汚染した環境の表面を医療従事者が触り、その汚染された手で自らの粘膜面を触った場合にも感染リスクが生じる。 接触予防としては、患者や患者周辺環境に触れる際には手袋・ガウンを着用し、PPE脱衣後の手指衛生を徹底する。また、医療器材などの汚染にも注意し、洗浄・消毒を適宜行うようにする。空気予防策(AP) 咳、くしゃみ、会話などで放出した飛沫から水分が蒸発し、飛沫核が発生する。ウイルスを含む飛沫核(5μm以下)が長時間空中を浮遊し、空気の流れによって広範囲に拡散した飛沫核を吸入することによって感染が起こる。 APのPPEとしては、N95マスクまたはそれ以上の高レベルの呼吸防護用具の着用が必要となる。N95マスクは正しく装着することが感染予防において極めて重要となるため、着用する医療従事者はフィットテストやユーザーシールチェックを行うことが求められる(表1)6)。 APとしては、独立空調で陰圧管理の個室が最も推奨され、入退室時以外は扉を閉めて、空気の拡散を防ぐ必要がある。 COVID-19においては空気感染は想定されていないが、エアロゾル発生処置を行う際はAPに準じた感染防止策が推奨されている。エアロゾル発生処置には気道吸引、気管挿管・抜管、非侵襲的陽圧換気(non invasive positive pressure ventilation:NPPV)療法、気管切開術、心肺蘇生、用手換気、気管支鏡検査、ネブライザー療法、誘発採痰などが挙げられる。感染対策の大前提として、エアロゾル発生処置は極力最小限に抑える必要がある。 通常、APが必要となるような感染症は、適切な医療機関に集約し治療するのが前提となるが、SARS-CoV-2のようなパンデミックの際は陰圧室を要さない施設でも治療を行う必要が生じるため、特に個室や病棟単位での隔離および十分な換気が重要となる。フィットテストN95マスクを正しく使用するためのトレーニングテストで、顔面との密着性の適否をキットで評価する。ユーザーシールチェック・マスクのフィット性を着用者自身が隔離区域に入る前に確認する。・両手でマスクを完全に覆って息を強く吐き、マスク周囲からの息漏れの有無を点検する。・空気が漏れている場合は、装着し直す。・呼気弁が付いている場合は、息を強く吸って陰圧がかかることも確認する。■表1 フィットテストとユーザーシールチェック(文献6より作成)

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