2Emer-Log別冊2021○適切にゾーニングとコホーティングを行う。○適切に個人防護具を装着する。○疑い患者に対して、「陽性患者かもしれない」という心構えをもつ。患者からの感染/患者間の感染への対策01Pointsはじめに 本項では、当院の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の入院管理における感染対策を紹介する。新型コロナウイルスの感染経路 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染経路としては、飛沫感染が主体と考えられている1)。感染者のウイルスを含む飛沫(くしゃみ、咳、唾液)を口や粘膜などから直接吸入すると感染し、特に換気の悪い環境では会話だけでも感染リスクがあると考えられている。また、感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後に、その手が周りのものに接触するとウイルスが周辺環境に付着し、汚染された表面を他人が触ることによってウイルスが手に付着し、その手を介して口、鼻、眼などの粘膜面から感染する接触感染も考えられる。飛沫はおおよそ2m程度は飛散すると考えられており、俗に言う密閉・密集・密接の「3密」で感染が拡大するとされている。感染伝播の主体は有症状者であるが、発症前の潜伏期にある感染者を含む、無症状病原体保有者からの感染リスクも報告されている。 また、SARS-CoV-2に関しては、エアロゾル感染の可能性も報告されている。咳やくしゃみで放出されたエアロゾルは乾燥して、5μm以下の飛沫核粒子として空気中に漂い、空中で3時間以上は存在可能との報告もあり、一定の環境下においては空気感染対策も必要となってくる2)。 SARS-CoV-2の潜伏期は1〜14日であり、曝露から5日程度で発症することが多いと報告
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