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3Emer-Log別冊2021第1章 病院と職員を新型コロナウイルス感染症から守るために❶患者からの感染/患者間の感染への対策されている。感染可能期間は発症2日前から発症後7〜10日程度とされており、発症する前から感染性があることが市中感染の大きな要因となっている。医療従事者の感染対策 医療従事者がSARS-CoV-2に感染するパターンとしては、SARS-CoV-2に感染している患者を診療して感染するか、または市中感染および医療従事者間での感染が考えられる。 市中や医療従事者間での感染を防ぐためには、日常生活において高リスクな環境(いわゆる「3密」環境)を避けることが大前提として挙げられる3)。職場においても共用物を減らし、また食事をとる際も集団でマスクをとっての会話が感染リスクにつながることを認識し、可能な限りそのような状況を避けることを心掛ける。健康管理も重要となり、特に発熱や呼吸器症状などを呈した場合には職場へ行かず、すみやかに仕事を休む勇気も必要となる。 当院では、職員の新型コロナウイルス接触確認アプリ(COVID-19 Contact-Confirming Application:COCOA)のインストールが徹底されており、通知があった場合には必要に応じて就業制限やPCR検査の実施などを遂行している。院内で発生しうる感染パターン SARS-CoV-2に感染している患者を診療して感染するパターンには、①COVID-19と診断または疑っている患者からの感染、および②COVID-19を疑っていない患者からの感染という主に2種類が考えられる。院内感染やクラスターの発生などに起因し、病院にとって大きな課題となるのは、主に②のパターンとなる。 COVID-19を疑っていない状況で適切な感染予防策を講じずに陽性患者に接触することにより、院内感染の可能性が高くなってしまう。よって、いかに適切に病棟のゾーニングを行い、確定患者・疑い患者をコホーティングを行い適切に隔離し、感染予防策を講じることができるかが、院内での感染を防ぐうえでのキーポイントとなってくる。感染予防策 感染予防策には、状況に応じて適切な個人防護具(personal protective equipment:PPE)を選択して着用する必要がある。PPEは想定している感染レベルによって装備が異なってくる。 以下では、まず一般的な感染予防策のレベルを紹介してから、COVID-19を想定した感染対策を解説する。

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