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10 血液浄化とは われわれは、腎不全患者に対して血液浄化療法を提供しているが、その主流は昔も今も「拡散」「限外濾過」を中心とした血液透析(HD)と血液濾過(HF)である。血液浄化とは、分子量の大きさを主とした除去可能な物質を標的に、それにふさわしいフィルタを選択し、生体に合った透析液、補充液を用いて行う治療である。つまり、血液浄化療法におけるフィルタの選択は要といえる。フィルタ内は中空糸と呼ばれるファイバーが数千から1万本程度束ねられており、そのファイバーのなかを血液が通り、外側を透析液が流れるしくみになっている(図1)。ファイバーの表面には小孔径の穴が空いており、透析液を循環させたり、圧力を調整することにより、穴を通して老廃物を継続的に除去する。拡散 コップの水のなかに溶ける物質(塩など)を入れると、溶けた物質は水のなかで均等に散らばり、同じ濃度になろうとする。この現象が「拡散」である。溶質は高い濃度から低い濃度へ、溶媒(水)は低い濃度から高い濃度へ1血液浄化の基本

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