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第1章医師が患家に赴いて治療する在宅医療は、わが国では伝統的に、患者の要請により随時的に訪問する往診であった。1986年、訪問診療の概念が医療制度に初めて導入され、92年には在宅医療の包括点数の原型がつくられる。これらは、高齢化がひたひたと進んでいた時代の要請に応じるものであった。90年代の黎明期を経て2000年に介護保険制度が始まり、在宅医療へのニーズも高まっていく。03年、地域包括ケアシステムが政策として提唱され、地域医療の役割が明確になった。13年の「社会保障制度改革国民会議報告書」でも、「介護ニーズと医療ニーズを併せ持つ高齢者を地域で確実に支えていくためには、訪問診療、訪問口腔ケア、訪問看護、訪問リハビリテーション、訪問薬剤指導などの在宅医療が、不可欠である」と在宅医療を位置付けている。在宅医療の歴史──生活モデル医療を求めて

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