T530370_再作成
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12はじめに 近年の疫学調査によって,脳卒中の原因として心房細動による脳塞栓症,また深部静脈血栓症(deep venous thrombosis:DVT)に起因した肺塞栓症(pulmonary embolism:PE)の頻度が増加してきたことが明らかとなった.心房細動による脳塞栓症あるいはDVTによるPEを予防するには,多くの臨床試験で示されたように抗凝固療法を行わなくてはならない.循環器内科医,神経内科(脳卒中)医だけでなく,一般医においても重篤な脳塞栓症やPEの発現を回避するには,抗血小板薬ではなく,抗凝固薬を使用しなければならないことが広く知られるようになった.NOAC・DOACの登場 2010年頃までは,抗凝固療法を行う場合,経口薬としてはビタミンK拮抗薬であるワルファリン,静注薬としては未分画ヘパリンのみが使用されていた(図).しかし,ワルファリンについては血液凝固カスケードの複数の因子を阻害するため,使用においていくつかの制限があり,採血による頻回のモニタリング,用量設定の煩雑性,多くの食物制限,即効性がないこと,個人差が大きいことなどの点から,新規非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(NOAC)の開発へと繋がった.今,なぜ抗凝固薬が注目されているのか池田隆徳東邦大学大学院医学研究科循環器内科学教授1序 章

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