T530370_再作成
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14そろったことで,使用するうえでの個々の薬剤の特徴や使い分けが論じられるようになってきた.まさに,DOACについては円熟期に突入したといえる. 心房細動の管理に関する欧米および日本のガイドラインにおいて,DOACはワルファリンと同等以上の効果を有することが明記され,一般臨床においても主流になりつつある.煩雑だと思われていた心房細動患者のリスク管理が,DOACを使用することでやさしくなってきた.その結果,専門領域にとらわれず,多くの医師が積極的に心房細動治療を行うようになった.また,ハイリスク例においても,DOACを上手に使用する医師も増えてきている.さらに,リアルワールドでのDOACの使用についてのデータも出されるようになり,DOACの実臨床における有用性についても知ることができるようになっている. 心房細動患者での適用に遅れること数年で,DOACはVTE患者での適用も獲得し,新たな展開をみせている.開発治験でその効果が立証されたことはいうまでもないが,DOACは心房細動患者で使用されてきた実績もあり,DVT患者のリスク管理においての主流になりつつある.従来,PEの急性期は未分画ヘパリン(静注薬)で対応していたが,DOACを使用すれば経口薬でも治療することが可能となった.このように,なぜ今,抗凝固薬が注目されているかが理解できると思われる.DOACのAKB 使用経験がない医師が新しい薬剤を安全かつ有効に使用するには,適応基準だけでなく、使用してはならない禁忌例や低用量使用のため減量基準,投与中の副作用について知っておく必要がある.適応となるのは,DOACについては「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制」と,「DVTおよび肺血栓塞栓症の治療および再発抑制」である.禁忌については高度腎機能障害(クレアチニンクリアランス〔Ccr〕<15〔30〕mL/min),すなわち腎不全では使用してはならない.低用量使用のため減

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