10血圧測定の意義 患者が医療機関に通い、薬を飲み、血圧を記録する最大の理由は「健康で長生きしたい」ためです。ご存知のように「長生き(寿命)」と「健康で長生き(健康寿命)」の間には10年前後の差があります。そして、健康寿命を妨げる最大の要因は、脳心血管疾患および認知症の発症、とくに脳卒中の発症であると言い切っても過言ではありません。2018年12月14日に法律第百五号として、「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」(図)3)が参議院で成立しました。第6条には「国民の責務」として、第12条には「循環器病の予防の推進」のために、高血圧が循環器病の発症に及ぼす影響を理解し、予防のための施策を講ずる必要があると明確に記されています。がんが“不治の病”から5年生高血圧1勝谷友宏勝谷医院 院長第 1 章 『高血圧治療ガイドライン2019』(JSH2019)1)では、わが国には4,300万人の高血圧患者がいると記述されています。今回のガイドライン改訂では、高血圧患者のみならず、正常血圧(120/80mmHg未満)を超えるすべての対象者に対して血圧への注意喚起が促されています。しかし、Hypertension Paradox2)と呼ばれる、「医師は100%満足しているが降圧目標達成は23%」という厳然たる事実があります。
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