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を多く経験してくると、病状の全体像を捉えると直観的に疾患名が浮かぶことがあります(直観的思考:システム1と言います)。そのような場合の直観は正しいことが多いです。経験が浅いと、見たことのない疾患や馴染みのない疾患は、頭に浮かばなかったり、種々のバイアスの影響を受けてしまいます。診断がうまくいかなくても、見逃してはいけないcriticalな疾患を除外できていれば、落ち着いて時間をかけて推論による分析的アプローチ(分析的思考:システム2と言います)を行えばいいのです。 救急の現場では普段から、主訴である症候ごとに、criticalとcommonの2つの視点からの思考フレームを頭のなかにつくっておきましょう。多くの臨床経験を積んでいけば、より直観が働くようになっていきます。 循環器救急疾患は、一般的に緊急度かつ重症度が高い(すなわちcriticalな疾患ですね)ため、情報収集とアセスメントを同時に行いながら診断を進めていかなくてはなりません。逆に緊急度かつ重症度が高い疾患を最初に除外できさえすれば、落ち着いて鑑別診断を行う時間ができるということになります。同僚や上級医、他科へのコンサルトを含め他の医師と相談する時間が生まれます。 次章より、実際の症例を用いて症候別に考えていきたいと思います。まずはcriticalを除外する ERでみる循環器疾患:臨床診断の考え方1502314

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