Chapter4黄色腫の好発部位を知ろう 黄色腫とは病理学的には「脂質を含有する泡沫細胞の集簇」です。皮膚や腱組織の中で物理的な刺激を受ける箇所に出現します。高齢FHの腱黄色腫には動脈硬化巣のように石灰化やコレステロール結晶そのものを認めることもあります。 FHに発生する黄色腫は腱黄色腫、皮膚結節性黄色腫、扁平黄色腫、眼瞼黄色腫です。全身くまなく診察することは非効率的で、好発部位を集中的に診察することが重要です。図16-1、2にHeFHとHoFHの黄色腫好発部位を示します。 これまで、アキレス腱黄色腫の重要性を繰り返し述べてきました。アキレス腱は黄色腫がもっとも高頻度に発生する部位であると同時に、定量評価にも適しています(図17-1、2)。アキレス腱断裂の既往がある場合、正常者でもアキレス腱は肥厚します。片側のみアキレス腱が肥厚した患者では、断裂の既往を聴取してください。次に手背伸筋腱(図17-3)、膝蓋腱(図17-4)、上腕三頭筋腱、足背伸筋腱、足底腱膜(図18)が好発部位です。皮膚結節性黄色腫は肘関節に好発します(図19)。 眼瞼黄色腫は上眼瞼の内眼角が好発部位で、下眼瞼内眼角や上眼瞼外眼角にも発生します(図20)。FH以外の高脂血症や正脂血症にも発生し得るので、FH診断の参考にはなりますが、特異度が低いことに注意が必要です。積極的コレステロール低下療法で黄色腫が退縮することは知られており、眼瞼黄色腫や扁平黄色腫は痕跡を残す程度まで退縮することがあります。一方、いったん顕性化した腱黄色腫が完全に正常化することはほとんどありません(図21)。1図16-1 HeFHの黄色腫の好発部位 図16-2 HoFHの黄色腫の好発部位 042
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